建設業許可上の財務諸表について② ~原価報告書~
2020年5月20日
今回は建設業許可の決算変更届の提出書類のうち、「原価報告書」についてご説明します。
建設業では「完成工事原価報告書」と呼ばれますが、“建設業許可上の財務諸表について① ~貸借対照表と損益計算書~”で触れた、損益計算書のなかでは合計して表記されている売上原価の内訳を記載したもので、損益計算書の補足資料のようなものといえます。
完成工事原価報告書では、原価を4つに分類して考えます。
a.材料費
建設資材購入費など、工事に必要な材料に係る費用です。(期首期末の仕掛品や棚卸高を差し引きして計算します。)
b.労務費
雇用形態に関わらず、自社で直接雇用する現場作業員の給料賃金など、工事に係る労働力の費用が該当します。
c.外注費
工事を他社に外注した場合の費用がこれに当たります。
ただ、労務費の性質を持つ場合は「労務外注費」としてbに含まれることがありますので注意が必要です。
d.経費
工事に係る費用のうち、a,b,cに該当しないものは経費になります。事務員や技術管理者などの給与はここに算入します。
この4つの合計額が損益計算書の完成工事原価として表示されるわけです。それぞれの費用をきちんと計算することが大切です。
長屋 弘子