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第四回 医療法人の健全な維持・運営のための第一歩。定款内容を確認しましょう!

医療法人の定款内容

2018年11月30日


皆さまこんにちは。
医療法人担当の吉田真美です。本日は、定款を確認されることの重要性について書かせていただきます。

定款の重要性

組織(法人)のルールブックとして、日本では「定款」というものを持つことが定められています。一般企業における定款は、本社や事業内容、役員構成や決算期等が定められていますが、医療法人における定款にも同様に、さまざまなことが定められています。

医療法人の定款は、基本的に内容を国(都道府県)が定めています。法人の運営は、「ルールブックに記載のあることしかやってはいけない」というのが基本スタンスですので、何かそれまでとは異なることをやろうと思ったら、まずは定款を確認し、記載事項であれば実際に事を起こす前に定款を変更する、ということが大前提となります。

医療法人においては、その変更内容が国(都道府県)の意向と一致しているかどうかという点も大事な点になってきますので、早めに「こんなことをしようと思っているのだけれど、やってもいいかなぁ」という時点で都道府県に事前相談を開始する、というのが一番リスクの少ない段取りになります。

定款を読み込んでいなかった悲劇

過去に経験したケースで、こんなことがありました。

医療法人を立ち上げられたお父様が急逝され、勤務医だった息子さんが法人の理事長になられました。息子さんは事業の運営等にはあまり興味が無く、診療一筋のタイプでいらっしゃいます。

ある時、お父様が昔お求めになっていた病院隣接の土地に対して、購入希望の話が持ち込まれました。理事長先生は、「今は全く使っていない土地だし、近いうちに分院を設立したいと思っているから、その費用の足しになれば良いかな」位の気持ちで、売買契約を結ばれました。現在の病院は土地を賃借していますが、所有者とも関係良好という認識です。

契約時にその土地の名義が個人ではなく法人になっていると相手方から指摘を受けましたが、「契約書には個人の実印じゃなくて法人印を押せば良いのだな」位の認識でいらっしゃいました。

しかしながらその後しばらくして、現在の病院の土地について、所有者から賃貸借契約を打ち切る旨の申し入れをされてしまいました。既に隣接地の所有権は赤の他人に移ってしまっていますので、急遽0から現在の病院の移転先を探さなければなりません。

所有者と話し合ったものの退去期限を設定されてしまい、困った先生は都道府県に今後の診療についてご相談されますが、そもそもお父様がこの土地を購入された背景に、都道府県から「短期の賃貸借契約である土地において開業していること」での診療の永続性について指摘を受けた過去があったということが、明らかになります。

当然都道府県としては「以前の理事長が移転先を確保したはずだが?」という反応を示しますが、定款上に基本財産として記載されていた法人所有の隣接地は、既に売買契約が成立してしまっています。。。

このケースでは、構想していた分院については一旦白紙にし、病院を移転させることを優先しましたが、タイミングとして2km以内に良い物件が見つけられなかったため、1か月の保険診療空白期間が出来てしまいました。

また、少々距離のある移転をせざるを得なかったことから、患者様離れも発生したため新規患者様の取り込みにも動かざるを得なくなりました。理事長先生は診療だけに集中する訳には行かなくなり、これまで極力控えてきた地域医師会による地域活動に多くの時間を使い、健康教室での講演や集団健康診断の診療、といったことも行わざるを得なくなってしまわれました。

このように、一般企業であれば企業の存続にかかわるほどの問題にならないことでも、医療法人においてはこれまで積み上げてきたものがすべて白紙になりかねない、大問題になってしまうのです。
定款変更はきちんと段取りを踏んでいれば、大きな問題は起こらない

先代の急逝によって、急遽勤務医を辞めて開業医になられる先生は少なくはありません。お父様との間できちんとした引継が出来なかったにしても、せめて理事長先生が基本財産である隣接地売買の際に都道府県に事前相談をしていれば、何故この土地をお父様が購入されていたか、のヒントが見つかった可能性は大きく、ここまでの緊急事態にはならなかったであろう、と思われます。

ちなみに、きちんと段取りを踏んで書類を提出すれば、なんということは無い定款変更ですが、前述のケースのように順番を間違えてしまうと、求められる追加資料が膨大になることもあります。また、前述のように急に医療法人を引き継がれた先生では無く、ご自身で医療法人を立ち上げられた先生であっても、定款記載事項をしっかりと読み込まれている先生はあまり多くないな、という実感を持っております。

日々起こる雑多な問題を、きちんとした手順にのっとって整理し、大きな問題になる前に対応するためには、理事長先生が定款をしっかりと読み込まれたうえで、全体の流れを理解し、どんな事態にもまともなアドヴァイスが出来る行政書士を、顧問として近くに置かれることを強くお勧めいたします!

  • 吉田 真美

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