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第3回 「株式会社の性格と設立」

  2007/11/16 菅原 賢司

  1. 株式会社と非公開会社
 株主は会社に投下した資本を回収するために、株式を自由に譲渡することが出来ますが、この制度を利用して株式を買い占め、株式を多数所有することにより、会社を乗っ取ること(最近の用語ではM&Aと言います)が出来ます。
 しかし、乗っ取られたくない既存経営者は、前回説明した「株式を譲渡して取得する際にその株式会社の承認を要する旨の定款の定め」を設けて乗っ取り防止策を講ずることが出来ます。このような制限規定を設けている会社が「非公開会社」です。必然的に「非公開会社」は信頼関係を基盤とした小人数のオーナーで会社を経営する形態になります。
  (ポイント)
   新会社法は、有限会社の設立を認めていません。その代わりに、特定・少人数の会社オーナーだけしか会社に参加できないタイプの「非公開会社」を設けました。さらに、不特定・多数の人が会社オーナーとして参加できるタイプの「公開会社」も設けています。このように性格の異なる会社を同じ法律の中に規定したので、とても分かりにくくなっています。しかし、中小企業のほとんどが同族の「非公開会社」ですので、「非公開会社」を中心に理解を深めて下さい。


2. 機関設置と所有と経営
 「非公開会社」では、株主が少人数のうえ、支配株主が会社を経営するので、定款で取締役は株主に限るとの規定を設けることができます(所有と経営の一致)。株主は1名でもよく(資本金が1円の場合、通常株主も1名ですが)、また取締役も1名で足りますので、取締役会や監査役を設置する必要はありません。取締役の任期は原則として2年ですが、定款で10年まで伸長することもできます。
  (ポイント)
   「公開会社」では、会社の役員を株主に限定することは出来ません(所有と経営の分離)ので、『役員の機関構成』は取締役3名以上で、必ず取締役会を設置し、かつ監督機関として原則として監査役1名以上を設置する必要があります。取締役の任期は2年で、この任期を定款で伸長することはできません。


3. 「非公開会社」の設立手続き
 @手順
  会社設立は、出資者を決める⇒定款を作成して会社の組織運営の骨格を決定する⇒公証人による定款認証を受ける⇒資本金を口座に振り込む⇒設立登記を申請する、という順序で行われます。

 A出資者(発起人)
  出資者は通常発起人になります(一人からOK)が、定款作成のときに実印が、定款認証のときに印鑑証明書の添付が必要になります。(発起設立)しかし、出資者が複数で、例えば広島、札幌、東京在住の3名でそれぞれが遠隔地の場合には、1名が発起人で、残り2名を株式引受人とする方法(募集設立)で定款を作成すると便利です。2名の引受人は印鑑証明書の添付は不要ですし、事情が変わった場合には認証後の定款を変更することもできます。

 B定款作成の注意点
  「商号」の使用文字は、ローマ字やアラビヤ数字でもOKです。例えば株式会社3Aというような商号でもよいです。
  「目的」は、会社の業務は目的の範囲に限定されますので、一般的に認知されている種類の営利性ある業務を明記して下さい。特に会社設立後許可や免許を申請しようと考えている場合は、事前に「目的」の内容を所轄行政庁や行政書士に確認して下さい。
  「本店の所在地」は、登記上は自宅やマンション・アパートでもよいです。しかし、例えば宅建業免許申請を考えているような場合には、自宅を「本店の所在地」とすると、「事務所」として認められない場合がありますので、事前に行政書士に確認してから「本店の所在地」を決めて下さい。

 C公証人による定款認証
  従来の方式ですと定款認証代は9万円ですが、当事務所が採用している電子認証では5万円で済みますので、4万円の割安になります。
  《注意》
  発起設立の場合には、認証後に定款を変更することは原則として認められません。しかし、募集設立だとその後の変更も可能ですので、事情が不安定のままで定款認証を行わざるを得ない場合には募集設立の方法を選択するのも一つです。

 D資本金の振込み
  資本金は1円でも足ります。発起設立の場合には、発起人名義の銀行の個人口座に資本金を振り込み、そのコピーを資本金の払込みの添付書類とすることができます。ただ、募集設立の場合には前記のコピーではなく、金融機関の払込保管証明書が必要になります。
  《注意》
  振込みの時期が定款認証の日より前の日の場合には、登記申請全体が瑕疵を帯びてしまい、登記申請行為が取消しの対象になりますので、振込日に注意して下さい。






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